万葉集Ⅲ赤人 後半

03 0384 山部宿祢赤人歌一首

03 0384 吾屋戸尓(わがやどに)韓藍種生之(からあゐうえし)雖干(ひからべど)不懲而亦毛(こりずてまたも)将蒔登曽念(まくとぞおもふ)

 

から‐あい ‥あゐ【韓藍】:植物「けいとう(鶏頭)」の古名で、晩春に種をまき、晩夏・秋に咲かす。

『種』の字には少なくとも、種(チョウ)・ 種(ジュ)・ 種(ショウ)・ 種(シュ)・ 種(たね)・ 種(くさ)・ 種える(うえる)の7種の読み方が存在する。

『生』の字には少なくとも、生(ソウ)・ 生(セイ)・ 生(ショウ)・ 生やす(はやす)・ 生える(はえる)・ 生(なま)・ 生る(なる)・ 生す(なす)・ 生(き)・ 生う(おう)・ 生(うぶ)・ 生む(うむ)・ 生まれる(うまれる)・ 生(いのち)・ 生ける(いける)・ 生きる(いきる)・ 生かす(いかす)の17種の読み方が存在する。

種える(うえる)+生む(うむ)=(うえる)

『干』の字には少なくとも、干(ガン)・ 干(カン)・ 干める(もとめる)・ 干す(ほす)・ 干る(ひる)・ 干(たて)・ 干わる(かかわる)・ 干す(おかす)の8種の読み方が存在する。

『将』の字には少なくとも、将(ソウ)・ 将(ショウ)・ 将に…す(まさに…す)・ 将いる(ひきいる)・ 将(はた)の5種の読み方が存在する。

『蒔』の字には少なくとも、蒔(ジ)・ 蒔(シ)・ 蒔く(まく)・ 蒔える(うえる)の4種の読み方が存在する。

将に…す(まさに…す)+ 蒔く(まく)=(まく)

不比等が死没したのは、養老4年8月3日(720年9月9日)であり、まるで哀悼の意を示しているようでもあるが、元明太上天皇も、翌養老5年(721年)5月に発病し、12月7日( 12月29日)に崩御しており、赤人は『風土記』の任務をそのまま続けたであろうことを思うと、太上天皇への思いと決意だったかもしれない。

 

その頃の歌と思えるのが、山部赤人(?-736?)が葛飾の真間の手古奈伝説に感興を覚えて詠んだ歌である。

手古奈はうら若い乙女であるが、その墓地が見つからなかったにしても、その名は忘れることなく、後々まで語り続けたいものであるという。

 

03 0431 過勝鹿真間娘子墓時山部宿祢赤人作歌一首[勝鹿の真間娘子の墓を過ぎし時に、山部宿禰赤人の作れる歌一首](下総国・常陸国) 并短歌 東俗語云 可豆思賀能麻末能弖胡 (かづしかのままのてご)

03 0431 古昔(こむかしに)有家武人之(ありけむひとの)倭文幡乃(しつはたの)帶解替而(おびときかへて)廬屋立(いおやたて)妻問為家武(つまどひしけむ)勝壮鹿乃(かつしかの)真間之手兒名之(ままのてこなの)奥槨乎(おひつぎを)此間登波聞杼(しまとはきけど)真木葉哉(まきのはや)茂有良武(しげくあるらむ)松之根也(まつがねや)遠久寸(とほくひさしき)言耳毛(ことのみも)名耳母吾者(なのみもわれは)不可忘 (わするべからず)

 

古(いにしえ)は「昔。過去のこと」で、古(こ)は「昔。過去のこと/長い年月が経っていること」で、古昔を(いにしへ)でもよいが、(こむかし)とする。

しづ-はた 【倭文機】:「倭文(しづ)」を織る織機。またそれで織った「倭文」。 しづ 【倭文】:日本固有の織物の一種。梶(かじ)や麻などから作った横糸を青・赤などに染めて、乱れ模様に織ったもの。倭文織。◆唐から伝来した綾(あや)に対して、日本(=倭)固有の織物の意。上代は「しつ」。 おび‐とき【帯解き】:着物の付けひもをとって、初めて普通の帯を締める祝い。

廬:[音]ル・ロ(呉)リョ(漢)[訓]いお・いおり・いえ

『壮』の字には少なくとも、壮(ソウ)・ 壮(ショウ)・ 壮ん(さかん)の3種の読み方が存在する。 『鹿』の字には少なくとも、鹿(ロク)・ 鹿(しか)・ 鹿(か)の3種の読み方が存在する。 壮(ショウ)+鹿(しか)=(しか) しま 【島】は、周りを水で囲まれた陸地だが、かつてこの一帯は低湿地で、「真間の入江」と言われ、万葉の時代は州と州をつなぐ架け橋もあったぐらいで、「真間」の「ママ」は、傾斜地、崖線、地形の崩れを指す上代日本語以来の古語であた。

『槨』の字には少なくとも、槨(カク)・ 槨(ひつぎ)・ 槨(うわひつぎ)の3種の読み方が存在する。

 

03 0432 反歌

03 0432 吾毛見都(われもみつ)人尓毛将告(ひとにもつげむ)勝壮鹿之(かつしかの)間〃能手兒名之(ままのてこなが)奥津城處 (おくつきところ)

03 0433 勝壮鹿乃(かつしかの)真〃乃入江尓(ままのいりえに)打靡(うちなびく)玉藻苅兼(たまもかりけむ)手兒名志所念 (てこなしおもゆ)

 

同じように、挽歌として叙事詩的性格が際立つ、高橋虫麻呂(生没年不詳)の歌があり、以下に載せておく。

 

09 1807 詠勝鹿真間娘子歌一首 并短歌

09 1807 鷄鳴(とりがなく)吾妻乃國尓(あづまのくにに)古昔尓(こむかしに)有家留事登(ありけることと)至今(いまいたり)不絶言来(たえずいひける)勝壮鹿乃(かつしかの )真間乃手兒奈我(ままのてこなが)麻衣尓(あさきぬに)青衿著(あおえりをつけ)直佐麻乎(ひたさをを)裳者織服而(もにはおりきて)髪谷母(かみだにも)掻者不梳(かくもすかさず)履乎谷(くつをだに)不著雖行(はかずゆけども)錦綾之(きんりょうの)中丹褁有(なかにつつめる)齋兒毛(いはひこも)妹尓将及哉(いもしおよぶや)望月之(もちづきの)満有面輪二(みつもおもわに)如花(はなのごと)咲而立有者(さきてたてれば)夏蟲乃(なつむしの)入火之如(ひにいるがごと)水門入尓(みといるに)船己具如久(ふねこぐごとく)歸香具礼(とつぐとの)人乃言時(ひとのいふとき)幾時毛(いくときも)不生物呼(いきざるものよ)何為跡歟(なにすとか)身乎田名知而(みをたなしりて)浪音乃(なみおとの)驟湊之(さわくみなとの)奥津城尓(おくつきに)妹之臥勢流(いもがこやせる)遠代尓(とほきよに)有家類事乎(ありけることを)昨日霜(きのふしも)将見我其登毛(みけむがごとも)所念可聞(おもほゆるかも)

 

『壮』の字には少なくとも、壮(ソウ)・ 壮(ショウ)・ 壮ん(さかん)の3種の読み方が存在する。

麻:[音]メ(呉)バ(漢)マ(慣)[訓]あさ(表内)あざ・お(表外)

ひた‐さお〔‐さを〕【▽直さ▽麻】:他の糸を交えない純粋の麻。

『服』の字には少なくとも、服(ブク)・ 服(フク)・ 服(フウ)・ 服(フ)・ 服(ヒョク)・ 服む(のむ)・ 服う(したがう)・ 服(きもの)・ 服る(きる)の9種の読み方が存在する。

『尓』の字には少なくとも、尓(ジ)・ 尓(シ)・ 尓(ギ)・ 尓(キ)の4種の読み方が存在する。

『将』の字には少なくとも、将(ソウ)・ 将(ショウ)・ 将に…す(まさに…す)・ 将いる(ひきいる)・ 将(はた)の5種の読み方が存在する。

尓(シ)+将(ショウ)=(し)

『歸』の字には少なくとも、歸(ギ)・ 歸(キ)・ 歸ぐ(とつぐ)・ 歸る(かえる)・ 歸す(かえす)・ 歸る(おくる)の6種の読み方が存在する。

『香』の字には少なくとも、香(コウ)・ 香(キョウ)・ 香しい(かんばしい)・ 香る(かおる)・ 香り(かおり)・ 香(か)の6種の読み方が存在する。

歸(き)+香(か)=(きか)は、【帰嫁】熟字訓「とつぐ」

『礼』の字には少なくとも、礼(レイ)・ 礼(リ)・ 礼(ライ)・ 礼(のり)・ 礼う(うやまう)の5種の読み方が存在する。

たな-し・る 【たな知る】:すっかり知る。十分わきまえる。

 

『呼』の字には少なくとも、呼(コウ)・ 呼(コ)・ 呼(ク)・ 呼(キョウ)・ 呼(カ)・ 呼ぶ(よぶ)の6種の読み方が存在する。

こや・す 【臥やす】:横におなりになる。▽多く、死者が横たわっていることについて、婉曲(えんきよく)にいったもの。「臥(こ)ゆ」の尊敬語。

 

09 1808 反歌

09 1808 勝壮鹿之(かつしかの)真間之井見者(ままのゐみれば)立平之(たちならし)水挹家武(みづくましけむ)手兒名之所念(てこなしおもゆ)

 

たち-なら・す 【立ち均す・立ち平す】:地面を平らにするほど行き来する。 平:[音] ビョウ(呉)ヘイ(漢)ヒョウ(慣)[訓]たいら・ひら(表内)な-らす・おだ-やか・なみ・つね・なり(表外 ) 「挹」(表外漢字):[音] ユウ・オウ[訓] く.む

 

その伝説というのが、多くの男性から結婚を求められた手児奈だが、「もし、私が誰かのお嫁さんになれば、ほかの人を不幸にしてしまいます。」となやみ、海に入ったという。

737年(天平9年)に行基がその故事を聞き、手児奈の霊を慰めるために弘法寺を開いたと言われ、現在は手児奈霊神堂に祀られている。

 

06 0917 神龜元年(724)甲子冬十月五日幸于紀伊國時山部宿祢赤人作歌一首并短歌(紀伊国)

06 0917 安見知之(やすみしし)和期大王之(わごおほきみの)常宮等(とこみやと)仕奉流(つかへまつれる)左日鹿野由(さひかのゆ)背匕尓所見(そがひにとみゆ)奥嶋(おきつしま)清波瀲尓(きよきなぎさに)風吹者(かぜふけば)白浪左和伎(しらなみさわき)潮干者(しほひるも)玉藻苅管(たまもかりつつ)神代従(かむよより)然曽尊吉(しかぞたふとき)玉津嶋夜麻(たまつしまやま)

 

『波』の字には少なくとも、波(ヒ)・ 波(ハ)・ 波(なみ)の3種の読み方が存在する。

瀲:[音]レン(呉・漢)[訓]なぎさ

波(なみ)+瀲(なぎさ)=(なぎさ)

 

06 0918 反歌二首

06 0918 奥嶋(おきつしま)荒礒之玉藻(ありそのたまも)潮干滿(しほひみち)伊隠去者(いかくりゆくも)所念武香聞(とおもはむかも)

06 0919 若浦尓(わかうらに)塩滿来者(しほみちくれば)滷乎無美(しほのなみ)葦邊乎指天(あしべをさして)多頭鳴渡 (たづなきわたる)

 

『滷』の字には少なくとも、滷(ロ)・ 滷(テキ)・ 滷(セキ)・ 滷(ジャク)・ 滷(シャク)・ 滷(にがり)・ 滷い(しおからい)の7種の読み方が存在する。 『乎』の字には少なくとも、乎(ゴ)・ 乎(コ)・ 乎(オ)・ 乎(を)・ 乎(や)・ 乎(かな)・ 乎(か)の7種の読み方が存在する。 滷い(しおからい)+ 乎(オ)=(しお)

 

06 0919 右年月不記 但偁従駕玉津嶋也 因今撿注行幸年月以載之焉[右は、年月を記さず。ただ玉津島に従駕すといへり。因りて今行幸の年月を検へ注して以ちて載す]

 

養老8年/神亀元年(724年)2月4日、元正は皇太子(聖武天皇)に譲位し、太上天皇となるが、譲位の詔では新帝を「我子」と呼んで、譲位後も後見人としての立場で聖武天皇を補佐していたが、その間も使えていたのは、赤人が仕えていたのは聖武ではなく、元明から引き継いだ太上天皇(元正)だと思うが、吉野の歌は聖武を称えているのであろう。

 

06 0923 山部宿祢赤人作歌二首 并短歌(吉野宮)

06 0923 八隅知之(やすみしし)和期大王乃(わごおほきみの)高知為(たかしらす)芳野宮者(よしののみやは)立名附(たたなづく)青垣隠(あをかきごもり)河次乃(かはなみの)清河内曽(きよきかふちぞ)春部者(はるへには)花咲乎遠里(はなさきををり)秋去者(あきされば)霧立渡(きりたちわたる)其山之(そのやまの)弥益〃尓(いやますますに)此河之(このかはの)絶事無(たゆることなく)百石木能’ももしきの)大宮人者(おほみやひとは)常将通 (つねにかよはむ)

 

『遠』の字には少なくとも、遠(オン)・ 遠(エン)・ 遠い(とおい)・ 遠(おち)の4種の読み方が存在する。

さき-をを・る 【咲き撓る】:(枝がたわむほど花が)たくさん咲く。咲きこぼれる。

あき-さ・る 【秋さる】:秋になる。

 

06 0924 反歌二首

06 0924 三吉野乃(みよしのの)象山際乃(きさやまきわの)木末尓波(こぬれには)幾許毛散和口(ここだもさわく)鳥之聲可聞 (とりのこゑかも)

 

『末』の字には少なくとも、末(ミャク)・ 末(マツ)・ 末(マチ)・ 末(ベキ)・ 末(バツ)・ 末(すえ)・ 末(うら)の7種の読み方が存在する。

こ-ぬれ 【木末】:木の枝の先端。こずえ。「こ(木)のうれ(末)」の変化した語。

ここ-だ 【幾許】:こんなにもたくさん。こうも甚だしく。▽数・量の多いようす。

 

06 0925 烏玉之(ぬばたまの)夜乃深去者(よのふけゆけば)久木生留(ひさぎなる)清河原尓(きよきかはらに)知鳥數鳴 (ちどりしばなく)

 

『烏』の字には少なくとも、烏(オ)・ 烏(エン)・ 烏(ウ)・ 烏(アン)・ 烏(ア)・ 烏ぞ(なんぞ)・ 烏い(くろい)・ 烏(からす)・ 烏んぞ(いずくんぞ)の9種の読み方が存在する。

うばたま-の 【烏羽玉の】:うばたま(=ぬばたま)は黒いことから、「黒」「闇(やみ)」「夜」「夢」にかかる。

ひさ-ぎ 【楸・久木】:木の名。あかめがしわ。一説に、きささげ。

『生』の字には少なくとも、生(ソウ)・ 生(セイ)・ 生(ショウ)・ 生やす(はやす)・ 生える(はえる)・ 生(なま)・ 生る(なる)・ 生す(なす)・ 生(き)・ 生う(おう)・ 生(うぶ)・ 生む(うむ)・ 生まれる(うまれる)・ 生(いのち)・ 生ける(いける)・ 生きる(いきる)・ 生かす(いかす)の17種の読み方が存在する。

 

06 0926 安見知之(やすみしし)和期大王波(わごおほきみは)見吉野乃(みよしのの)飽津之小野笶(あきづのをのの)野上者(ののうへも)跡見居置而(とみすゑおきて)御山者(みやまにも)射目立渡(いめたてわたし)朝獵尓(あさがりに)十六履起之(ししふみおこし)夕狩尓(ゆふがりに)十里蹋立(とりふみたて)馬並而(うまなめて)御獵曽立為(みかりぞたたす)春之茂野尓 (はるのしげのに)

 

い-め 【射目】:狩りをするとき、弓を射る人が隠れるところ。

十六:四*四(しし)

『履』の字には少なくとも、履(リ)・ 履む(ふむ)・ 履く(はく)・ 履(くつ)の4種の読み方が存在する。

蹋:[音]トウ・ドウ[訓]ふむ たた-・す

【立たす】:お立ちになる。▽軽い尊敬の意を添える。

 

06 0927 反歌一首

06 0927 足引之(あしひきの)山毛野毛(やまにものにも)御獵人(みかりひと)得物矢手挾(ともやたばさみ)散動而有所見(さんどうもみゆ)

 

とも‐や【得物矢】:狩りに用いる矢。

た-ばさ・む 【手挟む】:手に挟んで持つ。脇(わき)に挟んで持つ。

『動』の字には少なくとも、動(ドウ)・ 動(トウ)・ 動(ズ)・ 動もすれば(ややもすれば)・ 動く(うごく)・ 動かす(うごかす)の6種の読み方が存在する。

『而』の字には少なくとも、而(ノウ)・ 而(ニ)・ 而(ドウ)・ 而(ジ)・ 而(なんじ)・ 而れども(しかれども)・ 而るに(しかるに)・ 而も(しかも)・ 而して(しかして)の9種の読み方が存在する。

動(ドウ)+而(ドウ)=(どう)

さん‐どう【散動】:あちらこちら、まとまりなく動くこと。

 

06 0927 右不審先後 但以便故載於此次[右は、先後を審らかにせず。ただ便をもちての故に、この次に載す](吉野?)

 

06 0933 山部宿祢赤人作歌一首(淡路島) 并短歌

06 0933 天地之(あめつちの)遠我如(とほきがごとく)日月之(にちげつの)長我如(ながきがごとく)臨照(のぞむでる)難波乃宮尓(なにはのみやに)和期大王(わごおうの)國所知良之(くにとしらせし)御食都國(みけつくに)日之御調等(ひのみつきなぞ)淡路乃(あはぢなる)野嶋之海子乃(のしまのあまの)海底(うみのそこ)奥津伊久利二(おきついくりに)鰒珠(あはびたま)左盤尓潜出(さはにかづきで)船並而(ふねなめて)仕奉之(つかへまつるし)貴見礼者 (たふとしみれば)

 

わた‐の‐そこ【海底】:海底の奥深い所の意で、「奥(おき)」と同音の「沖」にかかる。

おきつ【沖つ】 いくり:海底にある岩。沖の暗礁。

 

06 0934 反歌一首

06 0934 朝名寸二(あさなぎに)梶音所聞(かぢのねきこゆ)三食津國(みけつくに)野嶋乃海子乃(のしまのあまの)船二四有良信 (ふねにしあらし)   

 

ここで、赤人をまとめるつもりはないが、神亀元年(724)の紀伊国行幸、同二年の吉野行幸・難波行幸、同三年の播磨国印南野行幸、天平六年(734)年の難波行幸、同八年の吉野行幸などに従駕し、土地讃めの歌をつくっており、あたかも、元明の『風土記』とプロジェクト『万葉集』とがコラボしたかのようである。